「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」は、運命に翻弄されながらも純粋な想いを貫く、“不器用な青春”を描いた名作ドラマ。
坂元裕二の脚本と有村架純・高良健吾の名演で、今も多くの心を打ち続けています。
いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう
月9ドラマ いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう 基本情報
いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう
【基本情報】
放送期間: 2016年1月18日~3月21日(全10話)
放送局: フジテレビ系月9枠
脚本: 坂元裕二
音楽: 得田真裕
主演: 有村架純、高良健吾
あらすじ
北海道のさびれた町で養父母と暮らす杉原音(有村架純)は、寝たきりの養母の介護に追われ、「あきらめること」を教え込まれて夢も希望も持たずに生きていました。
一方、東京で引っ越し業者として働く曽田練(高良健吾)は、福島の祖父の、騙し取られた畑を買い戻すため、先輩にこき使われながらも懸命に働いています。
ある日、練は友人が持っていたかばんから「音へ」と書かれた古い手紙を見つけ、持ち主に返そうと北海道へ向かうことに。
こうして出会った二人は短い時間を共にし、お互いに特別な感情を抱くようになりますが、それぞれの現実に引き離され、運命に翻弄されながらも心の奥底で想い続けることになります。
心に残るセリフ
練の優しさが心に響く名言(第1話・曽田練)
・人が頑張ったのって、頑張って生きたのって、目に見えないのかもしれないけど、きっと心に残るんだと思います。
出典:『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』第1話/曽田練(高良健吾)
親がいない音を励ますために練が言った言葉です。
見えない努力や想いも必ず誰かの心に残るという、希望に満ちたメッセージが込められています。
この優しさこそが、練というキャラクターの魅力を表している代表的なセリフです。
音の心境を表す切ない独白(第1話・杉原音)
・大事な物って荷物になんねん。杉原音は、私の想像の湖の中に沈んでん。私はもう林田音。
出典:第1話/杉原音(有村架純)
過去の自分を捨てて現実を受け入れようとする音の複雑な心境が表れた、胸が締め付けられるセリフです。
音の諦めの気持ちと同時に、心の奥底に秘めた想いが感じられます。
朝陽の星への想いと恋心(天体観測シーン・井吹朝陽)
・星を見るのは好きですか?僕は星が好きです。
一万年っていう長い月日を得て届く星の光を見てると、なんだか優しい気持ちになります。
出典:第4話/井吹朝陽(西島隆弘)
音に想いを寄せる朝陽が天体観測をしながら、音への恋心と星を重ねて語った美しいセリフです。
あの天体観測のシーン、泣きそうになりました。
あの距離感と空気の静けさが、朝陽の優しさをより際立たせていて……。
遠い星の光と届かない恋心を重ね合わせた表現が印象的です。
音の夢への想い(第4話・杉原音)
・もし夢があったとしたら、私はもう叶ってます。自分の部屋が欲しかったんです。
自分で仕事を持って、自分のお金でその日食べたいものを食べて、自分の部屋で自分の布団で眠りたかったんです。
出典:第4話/杉原音(有村架純)
音が朝陽と夢について話していた時の言葉です。
当たり前のことが当たり前でなかった音にとって、小さな幸せがどれほど大切だったかが伝わってきます。
音の一途な気持ち(第5話・杉原音)
・私、一度人を好きになったらなかなか好きじゃなくならないんです。
好きになってほしくて好きになったわけじゃないから。
たとえ片想いでも、同じだけ好きなままなんです。
出典:第5話/杉原音(有村架純)
朝陽からの告白を断る音が語った、恋愛に対する純粋で一途な気持ちを表現した名セリフです。
計算のない、真っ直ぐな愛情の形を表しています。
おすすめポイント・見どころ
坂元裕二による珠玉の脚本。
心の奥底にある感情を静かに吐き出すようなシーンが多く、日常的な会話の中に深い意味が込められています。
特に最終回のラスト15分弱を丸々ファミレスでの会話に費やすという常軌を逸した構成は、まさに坂元裕二の真骨頂といえるでしょう。
キャスト陣の自然体で心に響く演技
有村架純の憑依型ではないのに凄みのある演技と、高良健吾の魅力が全て詰まった演技が話題になりました。
二人の何気ない会話や仕草から、言葉にならない感情が自然に伝わってきます。
現実的でありながら美しい恋愛観
不器用だけど純粋で、それゆえに複雑さが増し、すれ違ってしまう男女6人のそれぞれが抱く「好き」の形が丁寧に描かれています。
理想と現実の狭間で揺れる登場人物たちの心境が、リアルかつ詩的に表現されているのも魅力。
いつ恋 推しキャラ紹介
杉原音(有村架純)
諦めることを教え込まれながらも、心の奥に秘めた純粋な想いを持つヒロイン。
「あきらめること」を教え込まれて生きてきたため、特に夢を見ることもなく、そんな状況をただただ受け入れて生きていた音ですが、練との出会いによって初めて自分の気持ちに正直になることを覚えます。
有村架純の自然体な演技が、音の成長と決断を美しく表現していて、多くの視聴者が感情移入せずにはいられないキャラクターです。
曽田練(高良健吾)
人を疑うことを知らない純粋な心を持つ青年。
不器用だけれど真っ直ぐな性格で、音への優しさと自分なりの愛情表現が印象的です。
特に“闇落ち”した後の彼のスーツ姿には、目を奪われました。
どこか影を背負いながらも、芯には優しさがある──高良健吾にしかできない役柄でした。
彼の魅力が最大限に活かされた役柄といえるでしょう。
井吹朝陽(西島隆弘)
音に「杉原さん、好きです」と告白し、「僕を好きになりなよ、僕だったら君に両想いをあげられるよ」と真っ直ぐに想いを伝える青年。
出典:『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』第5話/井吹朝陽(西島隆弘)
星を愛する優しい心の持ち主で、音への一途な想いが切なく描かれています。
「にっしー派」のファンも多い魅力的なキャラクターです。
日向木穂子(高畑充希)
練の恋人として登場する、広告代理店で働くキャリアウーマン。
一見しっかりしているように見えて、実は複雑な事情を抱えており、高畑充希の演技力が光る役柄です。
いつかこの恋を思い出しきっと泣いてしまう 作品の魅力と影響
「坂元裕二ってやっぱ天才!なドラマ。」という感想が多いです。
多くの人にとってドラマの入り口となった記念すべき作品です。
「大好きだったドラマ!このドラマに救われた」「少し感情移入をしすぎてしまうので、こういう気持ちに浸りたい時に見るのが良い」という声も多く、心の支えとなる作品として愛され続けています。
男女の会話劇が延々と続く本作は、その後の坂元裕二の核となる部分がむきだしとなった作品とも評されており、現在の坂元ドラマの原点を見ることができる貴重な作品でもあります。
ドラマではありませんが、2021年1月に公開された映画、「花束みたいな恋をした」も坂本裕二さんの作品。
この映画も大ヒット。
1991年1月、月9枠で放送された「東京ラブストーリー」の脚本も坂元裕二さんです。
時代は変わっても色褪せない人物描写と絶妙なセリフの言い回し、間の取り方。
彼の作品は見ておくべき、だと思います。
まとめ
「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」は、真実の愛とは何かを問いかける珠玉の作品です。
人を愛することの意味や素直な気持ちでいることの尊さなど、私たちが忘れかけてしまう「愛」への純粋さを、改めて思い出させてくれます。
運命に翻弄されながらも、最後まで純粋な想いを抱き続ける登場人物たちの姿は、きっとあなたの心にも深い感動を残すことでしょう。
一度見たら忘れられない、心に残り続ける恋愛ドラマの名作——それが「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」なのです。