ドラマ『カルテット』で吉岡里帆さんが演じた来杉有朱の「人生、ちょろかった」という名セリフが話題になりました。
一部では”あざとい女子の象徴”として語られましたが、実際には彼女の演技力の高さと透明感、そして芯のある性格が、むしろ多くの人の心を打っているのではないでしょうか。
カルテット 吉岡里帆が演じた来杉有朱という役柄
「あざとい」と言われた理由は演技の解像度が高すぎたから
ドラマ『カルテット』で吉岡里帆さんが演じた来杉有朱(きすぎありす)は、ライブレストラン「ノクターン」のアルバイト店員で、真紀曰く「目が笑っていない」。
ネットで度々炎上していたという元地下アイドルだった有朱は、男を誘惑するテクニックを熟知しているという設定でした。
以前、有朱の妹が有朱に好意を持つ家森に対して「あの人やめといたほうがいいよ。お姉ちゃんのあだ名、淀君だから」と口にしていたという話も。
出典:『カルテット』第3話/来杉有朱の妹
小学校の時に有朱がいるクラスだけが毎年学級崩壊になったり、アップルストアで働いていた彼氏が今では毎日朝からパチンコ屋に並んでいたりなど、様々な恐怖エピソードが後を絶たないという、まさに”破壊的な魔性の女“だったのです。
出典:『カルテット』第3話・第5話/来杉有朱関連
視聴者が「あざとい」と感じたのは、吉岡さんの演技があまりにもリアルだったから。
目が笑っていない演技は秀逸で、美しくピュアな顔の吉岡だからこそ、平気な顔をして人を傷つけていく言動は心底怖いと評価されています。
「人生、ちょろかった」というセリフの文脈
最終話でカルテットのコンサート会場に高級車でやってきた有朱。
外国人男性をはべらせながら、指輪を見せつけて「人生、チョロかった! あははは……」と高らかに笑う姿は、最終回で一番のインパクトを残した場面でした。
出典:『カルテット』第10話(最終回)/来杉有朱(吉岡里帆)
𠮷岡里帆さん 役柄へのコメント
吉岡さん自身も「人生、チョロかった」です。
出典:Abema TIMESインタビュー、ドラマ関連各種インタビュー記事
脚本の坂元(裕二)さんともお話させていただいたんですけど、そういうふうに生きていく強さもあるんだと思わされました。
普通の女性は、そう思っていても言わないじゃないですか。
有朱は、あえてそう言うことで自分を保っているというかと分析しています、と語っていました。
吉岡里帆さんの実像は演技に真摯な努力家
京都出身、進学校で学んだ秀才
京都市右京区太秦に生まれ、映像会社を経営するカメラマンの父や母・祖母の影響を受けて、幼少時より映画や演劇、歌舞伎、能、日本舞踊、落語などさまざまな芸術文化に親しみながら育つ環境にあった吉岡里帆さん。
進学校の京都府立嵯峨野高等学校へ進学しています。
一時軽音楽部やソフトボール部のマネージャーを務めるものの肌に合わず、勉強とアルバイトに打ち込む日々を過ごすという真面目な学生でした。
嵯峨野高校は京都府内では有数の進学校として知られ、偏差値は65という難関校で、彼女の学力の高さがうかがえます。
書道家を目指していた大学時代
𠮷岡里帆さんは書道家を目指して京都橘大学文学部日本語日本文学科書道コースに進学。
しかし、芝居への思いを断つことができず、演劇の道へ進むことになります。
書道の腕前は書道の最高の段位が10段であるなか、吉岡里帆さんは8段という驚異的なレベルでした。
京都と東京を往復した下積み時代
演技を学ぶため、京都の大学に通いながら、東京の養成所に通うという厳しい生活。
交通費を節約するために、新幹線ではなく深夜バスを利用し、夜行バスで東京へ向かってはオーディションを受け、終わるとまた京都へ戻るという日々を続けていました。
東京での滞在先も決して快適なものではありませんでした。
泊まるのは、スーツケースがやっと入るほどの狭い安宿という状況で、美貌とは裏腹に非常にストイックな努力を続けていたのです。
「クリスマスは健康診断」という真面目な一面
「クリスマスは毎年人間ドックを受けています。一番空いているんで(笑)」と語った吉岡さん。
このエピソードからも、彼女の計画性と健康管理への意識の高さが伺えます。
日々忙しいを送っている𠮷岡里帆さん。
“時間のやりくり上手”な一面が見えていると評価されています。
ネット上で語られた真の印象
「あざとい」というより「何をしても敵わない存在」
視聴者の反応を見ると、「あざとい」という声の一方で、視聴者の方からの反応でおもしろいと思ったのは、有朱をずっと嫌な女だと思って観ていた、嫌っていたという方々の思考が一気に逆転したこと。
10話の「人生、ちょろかった」というセリフを聞いて、一周回って嫌いになれなくなった、パワーをもらった、強く生きようと思ったという声もあり、むしろ勇気づけられたという声も多くありました。
演技力への高い評価
目が笑っていない演技について吉岡さんは、「他の人のセリフを聞き入っちゃうと、興味が湧いてきて自然と目が生きてしまうんですよね。だから、本当に興味を持たないように、どこか上の空で聞きながら演じています」と語っています。
この技術的な演技論からも、彼女が単なる美貌に頼った女優ではなく、演技に対して深く考え、研究を重ねていることが分かります。
まとめ 𠮷岡里帆は美貌で損をしているが、最も真面目で誠実
吉岡里帆さんの場合、その美貌とスタイルの良さが時として「あざとい」という印象を与えてしまうことがあるかもしれません。
しかし、彼女の実像は努力家で真面目。
演技に対して非常に誠実な姿勢を貫く女優です。
「共演させていただいたみなさん、尊敬している役者さんでした。一緒にお芝居させていただいていると、マラソンと同じで、速い人と一緒に走るとこっちも追いつきたくてどんどん速くなるんです。そんな貴重な経験をさせていただきました」という言葉からも、常に向上心を持って取り組む姿勢が伝わってきます。
『カルテット』での来杉有朱という役柄は、確かに視聴者に強烈な印象を与えました。
しかし、それは吉岡里帆さんの演技力の高さと、役に対する真摯な取り組みの結果です。
「人生、ちょろかった」と言った彼女は、決して”あざとい”のではなく、演技という表現を通じて、人間の複雑さや強さを見事に体現した、真の実力派女優なのだと思います。